大阪のアイデンティティを探す調査 第5弾

大阪のアイデンティティを探す調査 第5弾

大阪人の損得勘定

 

当協会マーケティング小委員会(岩崎富士男委員長)は、2002年10月に「大阪人の損得勘定」について調査を行った。
大阪人の厳しい損得勘定の具体的内容および大阪の都市としての損得度をあきらかにしようと、百八つといわれる人間煩悩の数にあやかり、百八項目について「損と思う」「得と思う」「損であり得でもあると思う(損得両面)ものに複数○印をつけてもらう方式で調査を実施した。
さらにその中でとくに「損」「得」と感じたものの具体的理由、ことわざ「損して得取れ」を知っているか、「時間」「お金」「愛情」「気持ち」など8項目の損得感覚、「大阪は他のどの都市に比べ損か得か」など六つの質問に回答を求めた。

「気が弱い」が損のトップ

この結果、「損と思う」のトップ回答は予想外の「気が弱い」で99%に達し、以下2位から10位まで「友達が少ない」「忘れっぽい」「安請けあいする」「ルールを知らない」「太っている」「知ったかぶりをする」「年齢より老けて見られる」「酒の強い友人と割勘で飲む」「嘘をつく」と続く。

得のトップは「大阪での買い物」

一方の「得と思う」は98%の「大阪での買物」が1位で、「友達が多い」「物覚えがよい」「器用」「大阪での外食」「大阪人の友人」「吉本がある」「つっこみやボケができる」「セールやタイムサービスでの買物」「大阪人はオモロイと言われる」までが10位を占めた。
「損であり得でもある」の最多は、36%を占めた「親との同居」。これに「小泉首相」「結婚すること」「賃貸住宅」「子ども会・町内会の役員になること」「デフレ」「男であること」「太田知事」「大人になる」「気が強い」が続いた。

〈性別・年齢別の違い〉

「太っている」は若い女・男で損の1、2位

ただ性別・年齢別でかなりの違いが出る。「損」の中で「太っている」は、男性の20代と5・60代はともに9位となる。「背が低い」は男性の20代が5位、3・40代は8位、5・60代が9位にくるが、女性は5・60代の5位だけ。

30・40代女性は全員「年令より若くみられたい」

女性が「得と思う」のは20代では「セールやタイムサービスでの買物」「つっこみやボケができる」「大阪弁」「器用」「大阪での買物」「大阪人の友人」の6項目、3・40代は「年齢より若く見られる」「友達が多い」、5・60代は「大阪での買物」が揃って100%。
これに対して男性各世代の上位共通項目は「器用」「友達が多い」などに限られる。「つっこみヤボケができる」も男性の20代1位、3・40代2位、女性では20代2位、30・40代5位だが5・60代には男女とも上位10位に含まれない。

若い女性は「結婚すること」は得でもあり、損でもある

「損得両面」は、女性の20代が「結婚」を1位とし、「百円ショップでの買物」「禁煙で太った」「女」などが上位にくるが、これらの項目は30代より上の世代には見られない。男性では「食物に金をかける」が各世代共通に出てくる。

<格差大・意外性の例>
全体値で損得格差の大きいものを例示してみよう。圧倒的な損は「気が弱い」損98%、得6%、「酒の強い友人と割勘で飲む」損93%、得16%、「見栄っぱり」損91%、得16%、「結婚式に金をかける」損91%、得18%、逆に得は「セールやタイムサービスでの買物」得96%、損10%、「年齢より若く見られる」得95%、損12%である。

「夕食にたこ焼き」は損、「夕食がお好み焼」は得、「女の涙」は得、「男の涙」は損

対比することで意外性や当然性も見える。「夕食にたこ焼き」は得42%、損72%だが、「夕食にお好み焼」は得73%、損43%と逆転。
「女の涙」は得だが「男の涙」は損。「目立ちたがり」「痩せている」「のんびり」「声が大きい」は得で、「太っている」「せっかち」「無口」「見栄っぱり」は損。

「太田知事」「小泉首相」は得がややリード、女性の方が得と評価

「太田知事」は損得62%の同率、「小泉首相」は得69%、損60%だが、得とする女性比率はいずれも男性より高い。
その一方で食い倒れの町、オモロイといわれる大阪人、元気なおばちゃん、大阪弁、吉本の存在、大阪人の配偶者などを「得」とする比率が高く、大阪人の大阪に対する愛着心がうかがえる。

<損得感と損得度>

損得感は、やっぱり「お金」と「時間」

「損したと感じる」ことは「お金」75%、「時間」74%が圧倒的に多く、「得したという感じ」も「お金」の57%がトップであり、実際に価値が計れるものに損得を実感する。一方「損よりも得と感じさせる」ものには「愛情」「気持ち」などが多く、大阪人の情の濃さが見える。
大阪を他の地域に比べると4人に3人が「得」と思い、とくに20・30代は「非常に得」が多いことから、大阪への愛着は強い。
またことわざ「損して得とれ」の認知度は「内容まで知っている」が68%、「聞いたことがある」まで含めると94%が認知し、60代は85%が知っていると答えた。
損得のいずれも、大阪人の気質や外見、大阪の風土に関する項目が選ばれている。ナィーブでシャイな面を自覚しながらどこか太太しく、金銭感覚もシビアな人間くさい特性がにじみ出ており、損得勘定が本性の鏡であることを証明した。世代間の答えの違いから、十年後、二十年後の大阪人がどう変わるか興味は尽きない。

なお調査は、日本統計調査保有にモニターから抽出した大阪府下在住の20~69歳一般男女を対象に、十年代ごとの性別構成で700人の標本を設定、アンケートを郵送して10月10日~24日までの間に500人の有効回答を得た。女性50.2%、男性49.8%である。

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