大阪のアイデンティティを探す調査 第3弾
2000年度大阪のアイデンティティを探す調査 第3弾
当協会マーケティング小委員会(委員長・岩崎富士男)は、「大阪言葉」の浸透状況を把握するため「大阪古来のしゃれ言葉に関する認知・使用状況・好意度」および「好きな大阪弁」の調査を、2000年10~11月に実施した。
まずリスト(表)にした40の「なにわしゃれ言葉」を紹介、「言葉を知ってる」「意味まで知ってる」の「認知程度」、その中で「おもろいと思う」「最も好き」、また「今後に残したい」言葉を聞いた。その結果、いずれの質問に対しても『夜明けの行燈』がトップ回答となる。受けた理由は質問していないが、「いいえて妙」の洒落っ気と、うっすらした自虐味が受けたのではなかろうか。
さらに「最も好きな大阪弁」では、『おおきに』が圧倒的多数を占めた。
【しゃれ言葉の認知】
『夜明けの行燈』は500人中184人、36.8%が「意味まで知ってる」、82人、16.4%が「言葉は知ってる」と回答、合計266人で全体の53.2%を占めた。
以下10位までは同様に『下手な将棋』41.0%、『赤子のしょんべん』と『髪結いの正月』がそれぞれ34.6%、『蟻が十匹、猿が五匹』32.0%、『お庭の桜』28.4%、『夏の鰯』27.2%、『やもめの行水』26.0%、『袖口の火事』24.8%、『センチ場の火事』24.2%である。
『夜明けの行燈』と『蟻が十匹、猿が五匹』『センチ場の火事』は、「意味まで知ってる」が「言葉は知ってる」より多数だが、それ以外の37件は「言葉だけ知ってる」が多くなり、うち17件に関しては「意味も理解」が5%を切る。
【おもろいしゃれ言葉】
50.2%と約半数の251人が『夜明けの行燈』をあげた。上記「知ってる」10件のうち、ここに入っているのは『蟻十匹、猿五匹』45.8%『袖口の火事』42.4%、『下手な将棋』42.0%、『髪結の正月』40.0%、『やもめの行水』36.6%の6件。
ほかは『うどん屋の鰹』が44.8%、『鼠六匹』43.4%、『猫の死んだん」41.2%、『冬の蛙』37.6%である。
さらに【最も好きなしゃれ言葉】のトップは『夜明けの行燈』で84人、16.8%。以下『蟻十匹、猿五匹』9.8%、『猫の死んだん』5.8%、『下手な将棋』5.2%、『誕生日の鯛』5.0%、『鼠六匹』4.0%、『黒犬のおいど』3.6%、『お庭の桜』3.4%、『夏の蛤』3.4%、『髪結の正月』3.2%が10位までとなる。
【残したいしゃれ言葉】
ここでも『夜明けの行燈』は53.0%のダントツで、大阪人はこの洒落た曖昧さを新世紀に伝えたいという。
上位10件には「知ってる、わかってる」での『下手な将棋』45.6%、『袖口の火事』42.2%、『髪結の正月』41.8%、『お庭の桜』40.6%、『蟻十匹、猿五匹』38.4%、それに「おもろい」の『うどん屋の鰹』44.6%、『鼠六匹』44.2%、『猫の死んだん』39.8%、『冬の蛙』38.8%が入る。
さらに10位には『蟻十匹、猿五匹』と同率で『誕生日の鯛』が加わるから合計は11件となる。
なおここで三割以上の支持を得たのは29件あり、40位の『深草の名物』に対する支持率も18.0%と、かなりの関心を集めている。
【最も好きな大阪弁】
『おおきに』が95件で圧倒的なトップ。以下2位から10位までは『まいど』58件、『なんでやねん/なんでや』49件、『あかん』35件、『ほんま』27件、『あほ』24件、『まいどおおきに』15件、『~しはる/してはる』13件、『ええ』12件、『好きやねん』11件と、ここまでは339件、67.8%を占めた。
また回答1件に『あんた』から『むかつく』までが42件あり、各人各様の個性がにじんでいる。
年代別の各1位は10代と20代が『なんでやねん/なんでや』で30代は『まいど』40代以上が『おおきに』と分かれ、世代による違いが明白である。
調査は大阪府下に在住する10代(中学生以上)から69歳までの一般男女を対象に、ほぼ十年ごとの性・年代別構成比に合わせ、日本統計調査が保有するモニターから700人の標本を設定、アンケートを郵送で送付・回収する方法で行い、2000年10月12日から11月5日までの間に、500人の有効回答を得た。男性50.2%、女性49.8%である。